大腸癌研究会に参加しました

1月22日と23日、東京で開催された第82回大腸癌研究会に行ってきました。

index

23日金曜日は臨時休診とさせていただき、患者様にはご迷惑をおかけしました。
その分しっかり最先端の情報を得てきましたので、今後の診療に生かそうと思っています。

この研究会は、日本の大腸癌に関するガイドライン取り扱い規約を決める大変権威ある組織で、1年2回、定例の学術集会を開いています。私は、数年前から、日本全国の大腸癌治療例のデータを集計する全国登録委員会のメンバーとして関わっています。また、自らの大腸癌治療例のデータを集計して発表してきました。
開業してから2年近く発表から遠ざかっていましたが、今回、久しぶりに早期直腸癌の内視鏡的治療例について発表しました。今回の研究会のメインテーマは、腹腔鏡手術と内視鏡治療でした。

今回私の得意領域である内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)について、松田病院での治療成績をまとめて報告しました。 20121213kitteIMG_2461

大腸早期癌は大きく2つに分けられます。粘膜だけにとどまっているごく早期の癌と、腸の筋層の一歩手前の層まで入り込んだ癌です。後者は「SM癌」とよばれます。内視鏡で切除した癌が、SM癌であった場合、そのあと腸切除の手術を追加するかそのまま様子を見るかという問題は、昔から議論を呼んでいます。いろいろなことが分かってきて、無駄な手術はかなり減ったのですが、それでもまだ本当に必要な条件は絞り込まれていません。

今回私は、一昨年(2013年)9月までに私が松田病院で行った大腸ESD412例を集計し、特に直腸癌の再発症例について検討しました。詳細は専門的になるので省略しますが、私の発表と同様に直腸SM癌の再発についての報告がほかの大きな施設からもあり、この分野での更なる研究成果の集積が望まれると思いました。

今回の研究会では、SM癌のリンパ節転移に関する新しい大規模なデータが公表されました。今後のSM癌内視鏡的切除後の治療方針決定に若干役立つ可能性があります。また、特に直腸癌については、複数の施設の知人医師から新しい治療指針を試みているという情報を得ることができました。まだまだ目を離せない分野であることには間違いありません。

これからも大腸癌については、最先端の情報をもとに、クリニックでの診療を継続していきたいと思っています。また、自らのデータをまとめて、医学の進歩に少しでも貢献していきたいと思っています。

当院の2014年の大腸検査のまとめ

あけましておめでとうございます。
昨年も多くの方に当クリニックをご利用いただき、ありがとうございました。
さて、今回は、ちょっと真面目に(専門的に)、昨年1年間の大腸検査について振り返ってみます。

polyp
昨年1年間に、延べ1389人の方が当クリニックで大腸内視鏡検査を受けられました。(すべての検査を私が行っています。)
検査の種類別では、全大腸内視鏡検査1281人、S状結腸内視鏡検査108人でした。全大腸内視鏡検査とは2リットルの下剤を飲んで眠っている間に大腸全体をみる検査、S状結腸内視鏡検査とは下剤を飲まずに多少便が残っていても大雑把にS状結腸までみる検査です。
当クリニックの「腺腫発見率」を計算してみました。
腺種発見率とは、大腸内視鏡検査を受けた方のうち、将来癌になる可能性のある「腺種」や「癌」の発見された方の割合のことです。過形成性ポリープや炎症性ポリープなど、癌になる可能性が極めて少ないポリープを除いて計算します。
腺種発見率は、検査を行っている施設や、検査医の精度を反映する数値であることが知られています。腺種発見率があまりにも低い場合には、見落としが多いとみなされます。ある論文によれば、女性患者で15%以上、男性患者で25%以上が検査の質の適正な指標になると指摘されています。実際、腺種発見率の低い医師に検査を受けても、将来大腸癌で亡くなるリスクを減らすことできないことが以前からデータの分析から指摘されていました。最近、アメリカから発表された論文でもそのことが裏付けられました。

さて、あさのクリニックで全大腸内視鏡検査を受けた方のうち、1つでも腺種または癌が発見された方は439人でした。「腺種発見率」は、34%ということになります。精度的には結構高いことを示しています。
ちなみに発見された大腸癌の方は31人でした。そのうち早期がんが24人で、当クリニックで内視鏡的切除を受けて完治しました。ほとんどが発見されたときに切除されました。もちろん全員日帰りで治療終了ですす。他の病院に紹介されて手術を受けた7名の方も元気に回復されています。

一人でも多くの方を大腸癌から守るため、皆様のご希望に添えるよう、今年もがんばります。
本年もよろしくお願いいたします。