10周年のご挨拶

2023年04月01日

 

 冬の間黄金色になるクリニックの外庭の芝生は、毎年4月になると若々しい緑色に染まります。この色の移り変わりも、今年で10回目を数えます。あさのクリニックは、おかげ様で今年4月1日をもって、開院10周年を迎えることができました。
 10年という節目を無事に迎えられましたのは、ひとえに患者様ならびに関係する多く方のご支援、ご厚情の賜物と深く感謝致しております。  雑草に覆われた空き地に、ショベルカーが入って工事が始まった日のこと、鉄骨が組まれた頃、大勢の方に集まっていただいて建前のお餅を投げた日のこと、お披露目の内覧会にはお祝いにいただいた数えきれない蘭の花や観葉植物が並ぶ中、大勢の方にお越しいただいたこと、期待と不安の中、診療を始めた日のことなどが、つい先日のように思い起こされます。  「胃腸・肛門病の専門クリニック」として、大腸癌や胃癌で亡くなる方を減らすこと、多くの方の胃腸・肛門を快適にすること、そして、地域の皆様に頼られるような医療を行うこと。この3つを目標にかかげて、多くの方のご支援、ご指導、叱咤、激励のもと、試行錯誤を重ね、ひたすら診療を行って参りました。  今思えば、10年という月日はあっという間でしたが、時代の変化も感じずにはいられません。何といっても3年余前から続くコロナ禍は、私たちにとっても大きな影響を与えました。発熱外来やワクチン接種など、私どものような小さな診療所にも、社会的な責務があることを痛感させられました。また、その中にあっても、支えてくださった皆さま、特にスタッフの協力のおかげで、専門病院としての診療を継続することができました。新型コロナワクチンの接種が始まって間もない2020年6月、静岡県内でワクチン接種に取り組むクリニックの一例として、丸一日NHKの取材を受け、「ありのままの姿を取材してもらおう」と思いながらも、緊張して診療を行い、数日後の夕方、編集された約7分の放送を、みんなでドキドキしながら見たことも思い起こされます。 2021年には、「マイナンバーカードが保険証の代わりになる」という、政府が進める「デジタルトランスフォーメーション」の一環である「オンライン資格確認」のシステムを、自力で四苦八苦して構築したことも忘れられません。開院当初は最新でピカピカだった医療機器も、年月を経て次々と新しいものに更新され、より美しい画像やより速い情報処理に驚きながら、時代の流れ、医療技術の進歩に遅れないよう、ハード・ソフトとも最先端を保つように努めています。  一方で、大腸がんで亡くなる方をもっと減らすためには、小さなクリニックで内視鏡検査をいくら頑張って行っても限界があると感じ、浜松市全体でより多くの方が大腸がん検診を受け、検診が適切に行われるような活動も必要と考え、2018年から浜松市医師会の活動に参加し、2019年に、浜松市で初めて「大腸がん検診委員会」を組織し、大腸がん検診の「精度管理」に着手しました。志を共にする市内の専門家や臨床医と共に、浜松市や多くの関係者のご協力を得て、少しずつ成果が表れ始めています。  「10年」は、長いようではありますが、もっともっと長く地域に根差して診療を行っている多くの医療機関に比べれば、まだまだ駆け出しのクリニックです。また、必ずしもすべての方の期待にお応えできていないことも事実です。やらなければならいこと、やってみたいことも数多くあります。これからも、現状に満足することなく、ひとりひとりの声に耳を傾け、より一層、患者様のため、地域のため、社会のために貢献できるよう、毎日励んでいく所存です。  今後とも、これまで同様、ご指導、ご鞭撻賜りますよう、どうかよろしくお願い致します。

院長 浅野道雄