肛門の診療

肛門の診療について

肛門の異常を訴えて受診される方のほとんどが、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)です。

これらは、通常生活の質を左右しますが、命に別状のない疾患です。ほとんどが軟膏や排便習慣・生活習慣の改善によりよくなります。

肛門周囲膿瘍や痔瘻などの一部の疾患を除いて、手術が絶対に必要とされる異常はそれほど多くありません。

当院では、なるべく手術しないで治す方法を模索します。患者さんご本人が手術でスッキリしたいという希望をお持ちの場合は、速やかに手術を予定します。

肛門周囲膿瘍や痔瘻など手術が必要な疾患は、必要に応じて緊急手術を行います。

豊富な手術実績

2013年の当院開院後の10年間で、約2000件の手術を行っています。

当院の肛門手術

  • 痔核・痔ろう・裂肛など、すべての肛門手術を日帰りで行います
  • 肛門の手術の前に、直腸やS状結腸に異常がないことを確認するために大腸の検査を行います
    • 8:30~9:00来院→S状結腸内視鏡検査→手術→昼頃帰宅(月・金)
    • 14:45来院→S状結腸内視鏡検査→手術→17:00頃帰宅(火)
    • 15:30頃来院→S状結腸内視鏡検査→手術→17:30頃帰宅(月・火・金)
      ※数年以内に大腸内視鏡検査を受けている場合は術前の内視鏡検査は不要です
  • 麻酔方法:仙骨硬膜外麻酔・局所麻酔・鎮静剤など、術式や状態に合わせて選択します
    • 鎮静剤を使用する場合はほとんど眠っているうちに手術は終わります
  • 翌日から家事可能、翌々日から就労可能
  • 通院は、翌日・1週間後・2週間後・1カ月後・2カ月後 (通常のケース)✳︎経過によっては、術後の通院が多くなることがあります

いろいろな肛門の病気

正常な肛門

歯状線より外側はとても敏感で、ほんの少しの傷で強い痛みを感じますが、歯状線より奥は直腸の粘膜で、痛みを感じません。

内肛門括約筋は、意識をしていなくても便やガスが漏れないように肛門を自然に閉めるはたらきをしています。

外肛門括約筋は、意識してギュッと肛門をしめるときにはたらきます。

内痔核(いぼ痔・脱肛)

内痔核は、もともと歯状線の奥にあるやわらかい組織や血管からできています。

血流が豊富なので、ちょっと切れただけでも結構な量の出血がみられることがあります。このとき、痛みを伴わないのが特徴です。

外に飛び出してこない場合(1度の内痔核)は、座薬や飲み薬でよくなりますが、繰り返す場合には手術(硬化療法)が有効です。

出血が長期間続くと、貧血がすすむことがあるので、要注意です。

内痔核が外に飛び出すと、触ってもわかるようになります。この段階を脱肛といいます。ふつうは痛みを伴いません。

排便の度に脱出したり(3度の内痔核)、常に脱出するようになったら(4度の内痔核)、一般に手術を受けた方がよい状態です。

手術で完治すると、すっきりして快適になります。(あさのクリニックでは、日帰りで手術を行っています。予約が必要です。)

ただし、脱肛で手術をうけるかどうかは、あくまでもご本人が困っているかどうかで決めることになります*。診察を受けて「脱肛がありますね」と言われても、ご本人が特に困っていなければ、手術を受けなければならないという病気ではありません。
(*持続的な出血のために貧血になっている場合は、手術が必要です。)

血栓性外痔核

ある日突然肛門が痛くなり、触ってみるとしこりがあるという場合は、血栓性外痔核のことがほとんどです。

歯状線の外にできるので、痛いのが特徴です。粘膜の下で毛細血管が切れて出血し、血の塊が溜まった状態です。

トイレで長時間いきんだあとや、お酒を多く飲んだあと、海外旅行の飛行機など長時間座っていたあとなどにおこることが多いのですが、特別な原因が思い当たらないこともあります。

米粒大のことから親指の頭くらいの大きさのことまであります。大きい場合、粘膜が切れて中から溜まっていた黒っぽい血液が流れ出てくることもあります。(自壊)

小さい場合には座薬や内服薬などの治療で1週間くらいで痛みが治まり、2.3週間でしこりが消えます。大きい場合や自壊している場合には、簡単な処置で血栓を摘出します。(血栓除去術)

血栓除去術は、局所麻酔で行い、5分程度で終わります。血栓除去を行うと、痛みは急速に楽になります。(あさのクリニックでは、通常の診察時に処置を行います。予約は不要です。)

裂肛(切れ痔)

文字通り肛門が切れる状態です。

硬くて太い便が出たあとにおこりますが、肛門が弱い方の場合は、それほど硬くない便のときにも起こります。

歯状線の外側が切れるので、痛いのが特徴です。通常は出血を伴います。

裂肛(切れ痔)を繰り返しているうちに、肛門の内側と外側に突起物が出てきます。また、肛門が狭くなり、ますます切れやすくなるという悪循環に陥ります。

このような状態になったら、手術が必要です。手術では、狭くなった肛門を広げ、突起物を切除し、繰り返す切れ痔の部分を覆ってしまいます。(皮膚弁移動術・SSG・肛門形成術などと呼ばれる手術です)

手術により完治すると、毎日快適に痛みや出血なく排便できるようになります。(あさのクリニックでは、日帰りで手術を行っています。予約が必要です。)

肛門周囲膿瘍

肛門の周りがはれて熱を持ち、強い痛みを伴います。

歯状線の近くのくぼみ(肛門小窩)から細菌感染がおこり、膿がたまった状態です。数日の経過で痛みがピークに達します。

抗生物質の飲み薬や座薬などは効果がなく、なるべく早く切開して膿を出す必要があります。(切開排膿術)

切開排膿術を行うと、痛みは急速に楽になります。(あさのクリニックでは、日帰りで緊急手術を行います。局所麻酔または仙骨硬膜外麻酔で行います。予約は不要です。)

切開したあとの傷は通常1~2週間で治ります。ただし、そのあと半分くらいの方が痔ろうになります。

痔ろうになるかどうかは、2か月くらい経過をみなければわかりません。痔ろうになった場合は、根治手術が必要です。(痔ろうの解説へ)

痔ろう

肛門周囲膿瘍の膿を切開して出したあとに、通り道ができてしまい閉じなくなった状態です。

肛門のすぐわきに、なんとなく硬い違和感を感じ、しばしばじくじくした状態となります。軽い炎症を起こしたり、膿がたまったりする場合があります。

手術をしなければ治りません。

肛門の後ろ側にできた場合は、切開術(LayOpen)、前や横側にできた場合は、ゴムを通してじわじわ治す方法(シートン法)を行います。(あさのクリニックでは、日帰りで手術を行っています。予約が必要です。)

その他

  • 肛門皮垂
  • 嵌頓痔核
  • 肛門周囲皮膚炎
  • 肛門周囲単純ヘルペス
  • 直腸脱
  • 尖圭コンジローマ

など、いろいろな異常や病気があります。

お気軽に受診し、ご相談ください。