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大腸の病気について

いろいろな大腸の病気

正常な大腸

大腸は、直径が約5~8センチメートル、長さが約1.6メートルで、小腸よりも太いです。大腸は盲腸、結腸、直腸の3つの部分に分けられます。

大腸では、細菌による食物繊維の分解や、栄養や水分の吸収が行われます。また、吸収されなかったものは便になり、排泄される前に大腸で一時的にたまります。もし水分の吸収がうまくいかないと、便に水分が多くなり、下痢の状態になります。

食道→胃→小腸(空腸・回腸)と順に送られてきた食物は、大腸に入ってきたときは、下痢便のような液状の腸液です。

正常な状態では、大腸に入ってきた腸液は大腸の中を移動していくうちに、水分が吸収され、次第に形のある便になっていきます。そして、S状結腸から直腸に貯まっていきます。1日に1~2回、大腸の大きな動きが生じ、排便となります。

過敏性腸症候群(IBD)

過敏性腸症候群はIBS(Irritable Bowel Syndrome)とも呼ばれ、腸に異常がないにもかかわらず、慢性的に腹痛を伴う下痢や便秘などが起こるのが特徴です。排便をすると症状が軽減する傾向があります。

原因はまだわかっていませんが、大腸や小腸など消化管の運動異常や知覚過敏、精神的なストレス等で自律神経が異常を起こし、腸の蠕動運動にトラブルが生じることで発症すると考えられています。また、感染性腸炎後に発症することもあります。

治療は、生活改善と服薬治療です。

暴飲暴食を避けて3食を規則的に摂る、高脂肪食を控える、アルコールを控える、ストレスをためず睡眠・休養を十分にとる、など食生活や生活習慣の改善することです。

服薬治療は下痢型や便秘型など症状のタイプに合わせて薬物治療を行っていきます。さらに、ストレスも原因であると考えられる場合は、抗不安薬などの心理的要因の改善が期待される薬も考慮します。

虚血性腸炎

虚血性腸炎とは、大腸の血流が一時的に悪くなり、循環障害によって粘膜に炎症や潰瘍などができる大腸炎のことです。症状は突然の腹痛(特に左から下腹部に多い)や下痢、血便を引き起こします。高齢者に多く、便秘に伴って排便時のいきみなどをきっかけに発症しやすいと言われています。

診断は内視鏡や腹部超音波で診断することができます。

症状が重い場合は、入院して絶食・点滴などを行うこともありますが、ほとんどのケースが一過性、軽傷のもので、ご自宅で、消化の良いもの、刺激のないものを摂りながら療養し、安静に過ごすことで自然に治っていきます。

感染性腸炎

感染性腸炎とは、なんらかの微生物が原因となって引き起こされる腸の病気の総称です。突然の嘔吐・下痢・腹痛や発熱などの症状を起こします。

感染性胃腸炎のなかで代表的なものとしては、ウイルスにより起こるウイルス性胃腸炎と、細菌によって起こる細菌性胃腸炎があり、これらは感染性胃腸炎の大半を占めています。

  • ウイルス性腸炎

ウイルス性腸炎の中で代表的なものはノロウイルスです。

1~2日の潜伏期間を経て激しい嘔吐、下痢の症状で発症します。2~3日は強い症状が続きますが、その後、速やかに症状が改善することが多いです。ウイルスによる腸炎に抗菌薬は無効で、主な治療は、腸剤や、吐き気止めや痛み止めの薬が用いられます。

  • 細菌性腸炎

細菌性腸炎にはサルモネラやカンピロバクター、病原性大腸菌があります

嘔吐を伴うことはありますが、中心となるのは腹痛や下痢、血便などの下腹部の症状です。軽症では抗生物質は必要とならない場合もありますが、細菌が原因と考えられ症状が強い場合には抗生物質が必要となります。

ウイルス性、細菌性腸炎とも、下痢止めの薬は病原体が腸管内に停留しやすくなるため、最小限の使用にとどめます。嘔吐・下痢がひどい場合であれば、水分摂取を促します。経口補水液なども有用です。飲水もできなければ病院で点滴を行ったりします。

大腸憩室

憩室(けいしつ)は、大腸の腸管壁の一部が外側に袋状に突出している状態です。慢性的な便秘などによる腸管内圧の上昇が原因とされており、圧に耐えられなくなった腸管壁の壁が薄い部分が外側に膨らむことで憩室ができると考えられています。

憩室症の診断は内視鏡やCTで判断できます。

憩室症になってもほとんどの人は何の症状もありませんが、憩室出血や憩室炎を起こすと症状が現れます。

  • 憩室出血

憩室内の血管が破綻することで出血を起こしてしまう状態です。腹痛や下痢などを伴わず、突然の下血で発症することが特徴です。

一時的に大量の出血を起こしますが、腸管の安静を保つことで70~80%は自然に止血されます。ただし、出血が続く場合には、大腸カメラ検査時に内視鏡による止血を行います。

  • 憩室炎

憩室に糞便が溜まったりなどで、内部で細菌が増殖すると、憩室に炎症が生じ憩室炎を引き起こします。腹痛や発熱、また下痢症状などが出現します。

軽度の憩室炎は、腸管を安静にしつつ、抗生剤や整腸剤を服用することで軽快します。

その他

  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病
  • 腸ねん転
  • 慢性便秘症
  • 静脈硬化性大腸炎
  • 大腸アメーバ症

など、いろいろな異常や病気があります。

お気軽に受診し、ご相談ください。